ターゲット、信用供与を拡大しすぎとの指摘も
ニューヨーク(ウォール・ストリート・ジャーナル)バーナンキ連邦準備制度理事会(FRB)議長は、おそらく米小売りチェーン大手のターゲット(NYSE:TGT)が大好きだろう。信用収縮にもかかわらず、同社のクレジットカード事業は貸し付けが強く伸びているためだ。こうした会社は米国内では数少ない。
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/media/djCAZ4104.html
しかし今、一部のアナリストは、現在の厳しい環境でクレジットカード事業を急速に拡大していることが、予想より大きな不良債権につながる可能性を懸念している。
ターゲットのローン残高は11-1月期(第4四半期、2月2日まで)末時点で、ターゲット以外の小売店でも使用可能なビザカードと、ターゲット店舗のみで使用可能な自社ブランドのカードを合わせて86億2000万ドルだった。
これは前年の67億1000万ドルから29%の増加で、前年比伸び率は8-10月期の25%を上回った。カード事業は、ターゲットの利益成長の大きな部分を占めた。
これに対し、他のクレジットカード会社は、ローンの残高が減少したか、より小さい伸びにとどまった。例えば、ディスカバー・ファイナンシャル・サービシズ(NYSE:DFS)の米国クレジットカード事業は昨年9-11月期(第4四半期)のローンの伸びが前年比5%にとどまった。キャピタル・ワン・ファイナンシャル(NYSE:COF)の米国クレジットカード事業はローン残高が10-12月期に2.8%減少。シティグループ(NYSE:C)は3.6%増、JPモルガン・チェース(NYSE:JPM)は3%増だった。
景気減速で借り手による返済がより難しくなっていく時期に、ターゲットがローンを拡大しすぎていると懸念する声が一部では聞かれている。また、他社からは与信を受けられないような厳しい状況にある借り手がターゲットのところに集まっているのではないかとの指摘もある。
ニューヨークの調査会社ポータレス・パートナーズの消費者信用アナリスト、ウィリアム・ライアン氏は「ターゲットは間違った時期に極めて積極的な信用供与の成長を追求したもようだ」と指摘する。
こうした指摘に対し、ターゲットのダグラス・スコバナー最高財務責任者(CFO)は、クレジットカードのポートフォリオの成長は「融資基準を緩めたり、当社ポートフォリオの信用の質を引き下げたことによる作用では決してない」と反論する。
ここ数年間、ターゲットのクレジットカード事業に対して批判的な向きは、同事業が苦境に陥ることを予想してきたが、それは現実のものとはなっていない。スコバナーCFOは、同社が自身の見積額を上回る貸し倒れを出したことがない点を指摘。09年1月期もそれは変わらない見込みとし、ローン全体に占める貸し倒れの比率は約7%と予想する。08年1月期は5.9%だった。ディスカバーの同様な比率は07年11月期が3.82%、キャピタル・ワンは2.88%だった。
スコバナーCFOによると、ターゲットは昨年、クレジットカード融資を大きく増やすことを選択した。ローンを提供してもよいと判断できる借り手がより多く見つかったためという。また、ローンは08年1月期末の水準から、短期的には大きく伸びることはないとの見通しを示した。
AIMダイバーシファイド・ディビデンド・ファンドのアナリスト、ロバート・ボタール氏は「ターゲットは信用業務の管理で実績がある。この実績のため、同社が失敗すると賭けるのは難しい」と述べた。同ファンドはターゲット株を保有している。
しかし弱気派は、ターゲットがつまずく時に差し掛かっていると考えている。景気が減速し、貸し手が融資により厳しくなる時に、カード・ポートフォリオの急成長が重なったためだ。クレジットカード事業で実際に問題が生じた場合、それは景気減速が小売り事業に打撃を与えるのと重なることになる。
ターゲットの株価は年初から2.5%上昇している。これに対し、S&P500種指数は同じ期間に13%下落している。ターゲットの株価収益率は09年1月期の予想1株利益ベースで14.4倍と、市場平均の12.9倍を上回っている。ターゲット株の10日終値は前週末比77セント(1.48%)安の51.23ドル。
投資家は、景気回復を見越して小売り株を買うことが多い。しかし、クレジットカード事業が問題となれば、こうした買い手にとってターゲットの魅力は薄くなる。ターゲットの08年1月期の税引き前利益は1億2800万ドル増加したが、そのうちの1億0300万ドルはクレジットカード事業がもたらしたものだった。
(3月11日付のHeard On The Streetより)
スポンサードリンク