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セブン銀行、進化は続く コンビニATM好調

セブン銀行、進化は続く コンビニATM好調
2007年11月05日

 コンビニATM(現金自動出入機)を主力にするセブン銀行が、創業7年目を迎えました。9月にはセブン―イレブンの全店にATMを置き終え、ほとんどの銀行のキャッシュカードが使えるようになっています。業績は右肩上がりですが、ゴールではありません。新しい収益源を求めて「第二の創業」の模索を始めています。

http://www.asahi.com/business/topics/TKY200711050018.html

9日開業の準備を進める「みんなの銀行窓口。」。気軽に相談できるよう、スタッフは赤いエプロンで迎える=10月31日、東京都足立区のイトーヨーカド-アリオ西新井店で


セブン銀行の業績


 ATMの利用1回ごとに、約170円の「売り上げ」が入る。それを収益の柱にするという世界でも珍しいビジネスモデルを掲げ、01年5月に営業を始めた。

 ●信用獲得 年5億人利用

 以来、同じグループのセブン―イレブンの店内にほぼ集中してATMを置き、36都道府県で約1万2600台。提携カードはメガバンク、地方銀行から、信用金庫、クレジットカード会社まで550を超える。いまや、セブン―イレブンがない地域の銀行からも「使わせてほしい」とラブコールが舞い込むほどだ。

 安斎隆社長は日本銀行の出身。金融業界の幅広い人脈を買われて創業時から社長を務めるが、こうも打ち明ける。「業界の人からは『うまくいかない』と言われ続けた。必ずしも、自信を持って始めたわけではない」

 かつて銀行といえば、駅前の一等地にある立派な構えの支店で、制服をきた女性行員がカウンターにずらりと並んでいた。重々しい「信用」の力で預金を集め、企業に貸してもうける――。そんな「当たり前の銀行」と全く違うスタイルが、なぜ成功したのか。

 食品や雑誌に加え、宅配便や公共料金の収納まで扱うようになったコンビニが、地域の「インフラ」としての信用力をつけてきたことが、背景の一つにある。

 さらに、不良債権処理に追われた銀行業界の変化も、セブン銀行には追い風になった。コスト削減を急ぐ既存銀行は、不採算の支店やATMを撤収。その分の利用者サービスを補おうと、セブン銀行と提携した。

 また、超低金利の下で不評なATM手数料をコンビニ利用も含めて無料にする動きが広がり、利用回数は増加。1年目に1日1台あたり平均でのべ25人だった利用者は4倍の110人になり、全体では年5億人近い。

 セブン銀行の「売り上げ」は、利用者が払う手数料ではなく、使われるたびに提携先から受け取る利用料。今年度は800億円を超える勢いだ。

 ●窓口で他社商品紹介も

 「コンビニのATMだけで終わってはつまらない。もっと消費者に必要とされるところへ広げたい」と安斎社長。次も、他の銀行やカード会社がまねできない「第二の創業モデル」をねらう。

 「私の収入では、いくらまで借りられますか」

 9月の日曜日。スーパーの一角で、親子連れや夫婦が銀行員と話し込む。セブン銀行が、東京都江戸川区のイトーヨーカドー葛西店で開いた、住宅ローンの合同相談会だ。三井住友銀行や中央労働金庫など4社に集まってもらい、相談にきた人が各社の商品を比べて選べる場にした。

 訪れた相談者の中には、2~3社で同じ質問を繰り返し、1時間以上も話し込む姿も。

 企画した竹田正俊さん(39)は「想像以上の手応えだった。気軽に足を運べる場を広げたい」と話す。竹田さんは、三菱東京UFJ銀行の出身。個人向け金融商品の開発に携わったが、「銀行はとても相談しにくい」という客の声が一つのきっかけになり、転身した。

 スーパーにある出張所「みんなの銀行窓口。」は、セブン銀行の預金口座も紹介するが、主な狙いは他行のローンや投資信託の紹介、口座開設の取り次ぎ。同じ小売業界から10月に開業したイオン銀行が、自行の金融商品も積極的に売る方針なのと対照的だ。

 「窓口。」は9日に6カ所目を開くが、事業はまだ赤字。それでも、担当部長の河田久尚さん(47)は「自社商品がないから、中立的に助言できる。ニーズはあるはず」と、期待をかける。

 出身の旧UFJ銀行時代は、再編でシステム統合が優先され、個人向けサービスは後回しにされる気配を感じていた。

 中核のATM事業は、コンビニ以外に活躍の場を広げる。イトーヨーカ堂の店舗開発担当からグループ内公募で転籍した宇賀神一孝さん(41)は、空港に置く交渉で、全国を飛び回る。成田、羽田に続き、関西、新千歳、福岡にも置く計画だ。海外のカードも使えるようになり、外国人観光客や留学生が使うホテルや駅も、構想に入ってきた。

 社長のトップセールスから、社員たちの多彩な経験を生かした総合力での挑戦へ。組織の真の力が試される。

 ●枠を超えて挑戦を

 コンビニATMを生活に欠かせない存在にした点で、セブン銀行の貢献は大きい。しかし、経営を立て直した既存の銀行も顧客サービス重視に転換。一方でコンビニそのものは激しい競争下で曲がり角を迎える。「次の戦略」探しは必然だろう。

 ただ、住宅ローンなどの相談窓口も、買い物目的のスーパーで本当に必要とされるのか、評価はわかれる。お金のニーズはさまざまにあるはず。小売業が始めた銀行ではあるけれど、その枠にとらわれすぎないで、幅広く挑戦を続けてほしい。

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